MV(ミュージックビデオ)。
それは、アーティストたちが販促の為、または自らの楽曲のイメージをリスナーに伝える為に制作される音楽映像です。
音楽ビジネスが確立されて以来、手を変え品を変え、あらゆるミュージックビデオが作成され、その都度音楽ファンたちの目と耳を楽しませてきたことに疑問を抱く余地はないでしょう。
しかしながら、中には狙ってそうなったのか、偶然と解釈の相違による産物か、結果として「笑い」を生んだ作品も多く見受けられます。
今回は、そんな中で筆者が特に衝撃を受けたおもしろMVの中から特00年代に絞っていくつか紹介したいと思います。
激動の00年代音楽史を振り返ると共に、是非ともあなた自身の目にその輝かしい雄姿を焼き付けていただければ幸いです。
それでは、どうか最後までお付き合いください。
Korpiklaani/Wooden Pints
まずは有名どころから。
それは2000年代中期、ある一作のミュージックビデオがネット界隈での話題を攫っていました。
そう、Korpiklaaniです。
まず冒頭、ドラムヒットに合わせた牧割りの映像に続いて、祠から何やらおじさんが無表情でバイオリンを奏でながら飛び出してきます。
しょっぱなからシュールな絵面に度肝を抜かれれますが、他にもヴォーカルの異様なまでのガニ股など、見どころは多く、画質のチープさも相まって何とも言えないシュールな雰囲気に包まれています。
恐らく狙って生まれた笑いではないと思いますが、その珍妙さが癖になるとネットで話題となり、一躍知名度を上げることになりました。
ネットでの人気に目を付けた、かどうかは不明ですが、日本のレーベルからも発売が行われ、PV以上に珍妙な邦題を全曲に宛がわれるなど、徹底していじられ続けた印象があります(いい意味で)。
以下はそんな邦題の一例となります。
・酒場で格闘ドンジャラホイ – Wooden Pints
・森の中でハッスルハッスル – Spirit Of The Forest
・実録!フィンランド昔話 – Old Tale
・痛快!飲んだくれオヤジ – Happy Little Boozer
・立ち上がれ!森の妖精コルピ軍団 – Korpiklaani
・村が火事! – Liekkiön Isku (The Revenge of Liekkio)
あまり英語、フィンランド語に明るくはないないですが、どう原題と比較しても明らかに余計なアレンジが加えられているのが分かります。
よくも悪くも日本のファン、レコード会社に愛され続けたバンドでした。
ちなみに、楽曲そのもののクオリティは高く、北欧のバイキング、フォークの要素をメタルと絡めた先進的な音楽性も注目されました。
Angel Heart/Desire Love
昨今ではK-POPが世界の音楽シーンを席巻している印象もある韓国において産み見出された、世にも珍しい韓流ビジュアル系バンド、Angel Heart。
2000年代という時代性を考慮しても若干の古臭さを感じるメイク、衣装。
加えて、韓国独自のビジュアル系の解釈と、一世を風靡した「ケミョーン」というフレーズ(1:30~)も相まって、奇跡的な面白PVとして成立しています。
ネット上では知る人ぞ知る、密かなブームとなりました。
Talonpoikaisralli/Heavy Metal Perse
コルピクラーニからの流れで。
本家コルピクラーニを森メタルとするならば、さしずめこちらは畑メタル、農耕メタルとでも言うべきでしょうか。
壮大な楽曲と農作業に勤しむメンバーのギャップがひっそりと笑いを生みます。
最後は農作業に飽きたのか、みんなで仲良く酔い潰れてしまいました。
ハッハッハッハー
Ninja Magic/Way Of Life

こちらも有名どころですが外すわけにはいかないでしょう。
メタルミュージックと、日本文化である”忍者”を融合させた、忍者エピックメタルというジャンルの開祖として一部で名高いNinja Magicの作品です。
北欧の真っ白な雪原を黒装束をまといはしゃぎ回る彼らに、残念ながら忍(しのび)の本質は伝わらなかったようです。
しかしながら、気の合う仲間たちと一つの作品を作り上げるDIY精神と、作中での和やかなシーンも相まって何とも言えないほっこりした優しい気持ちにさせてくれる、そんな作品です。
楽曲はチープな印象を受けますが、メタルというよりはどちらかというとメロディックハードコア的な要素があり、思わず口ずさみたくなるキャッチ―さがあり普通にカッコいいです。
blink-182/What’s My Age Again?
一糸まとわぬ全裸となったメンバーが町中をストリーキングするという内容。
Blink182というバンドはパンク勢の中でも”おバカ”な要素を打ち出していたバンドだと記憶していますが、そんなのただの変態行為じゃないかと思いました。
普通に市街地を走ってますが、撮影許可等はどうしたのか、通報はされなかったのか気になるところではあります。
Protest The Hero – Limb From Limb
森メタル、畑メタル、忍者メタルと紹介したところで続けてご覧いただきたいのがこちら。
無理やりこじつけるのであれば海洋メタルとでも呼びましょうか。
勇壮な楽曲に海、船といったイメージがマッチしています。
2:40頃から始まるキレのあるダンスも見どころです。
Voicemail feat Ding Dong/Wacky Dip
放っておくとメタルばっかりの紹介になるので少し趣向をかえてレゲエより。
住宅街で踊るメンバーの妙にクセになる振付が特徴的なPVです。
チョコレートプラネットの松尾氏が発掘しネタにしていました。
The Black Satans/The Satan Of Hell
こちらも一部界隈で有名な作品。
雪山を舞台にブラックメタラーたちが追いかけっこをしたり、ガニ股で謎のダンスを踊ったりする、ただそれだけの映像です。
どこかホームビデオ感を漂わせるクオリティと、時折木陰から除くメンバーなど非常にほっこりする内容ですが、曲がシリアスなブラックメタルなだけにどこか笑いを誘います。
悲劇的な事件やゴシップを抱えるブラックメタル界隈において、ある種清涼剤ともいえる作品です。
ブラックメタルというジャンルについてはこちらの記事でも触れてますのでよろしければ併せてお読みください。
Dragonforce/Through the Fire and Flames
結局ほとんどメタルバンドの紹介になってしまった気もしますが、最後も自重せずメタルバンドのPVで締めたいと思います。
楽曲が佳境に入る3:27頃、ギターソロを披露する相方を横目に水を飲むシーンが見どころです。
だからどうしたという意見もありますが、ギターソロを魅せたいのか、水の宣伝をしたいのかゲシュタルト崩壊に陥りそうなシュールな絵面は、是非とも一度ご覧いただければお分かりになるかと思います。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
一部の界隈でではありますが、人気を博した作品ばかりですので目にしたことのある作品もあったのではないでしょうか。
シリアスなイメージのミュージックビデオも素晴らしいのですが、こうした笑いやシュールさを届けてくれるような作品も長くアーティストが愛される秘訣なのかも知れません。
皆様もこういった楽しいミュージックビデオをご存じでしたら是非ともコメント欄などでお知らせ頂ければ幸いです。
それでは、今回の記事はここまでとなります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
またお会いできる日まで。
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